Ａ．人々の質問に対する法然上人の回答が『一百四十五箇条問答』という文書で残っています。その中で「念仏行者が、神社仏閣へお参りすることはいかがでしょうか」という質問に対して、「差し支えありません」とお答えなさっています。神社でも、阿弥陀様を本尊としない寺院でも、お参りして構わないという法然上人のお答えは大らかですね。
また、同じ『一百四十五箇条問答』の中に「仏閣に参拝した時にはお経を唱えて廻向すべきなのに、お経を唱えずにお念仏を称えて廻向してもかまわない、というのはどうでしょうか」という質問に、やはり「差し支えありません」とお答えしています。あるいは、「神社仏閣への参詣を必ずするべきでしょうか」という問いに対しては、「なさらなくともよろしいでしょう。時にはかえって悪影響を受けることもあります。ただ静かにお念仏を称えなさい」とも答えられております。
以上のことから、神社仏閣にお参りしてもよいですが、お念仏を称えることの方が大事であり、もしお参りする場合でもお念仏で構わないというような考えでおられたのではないでしょうか。もっとも、神道や他宗派の方の心情を考えれば、聞こえよがしの大声で称えることは控えた方が良いと思います。（引用『法然上人のご法語③対話編』より）
